サーフィン界、新たな潮流:家族と共に戦うトップアスリートたち
世界サーフィンリーグ(WSL)の舞台裏に、静かな革命が起きている。それは、トップアスリートたちが家族と共に世界を駆け巡る、という変化だ。五度制覇を誇るカリッサ・ムーア選手の復帰を皮切りに、子育て中の選手たちの活躍が、サーフィン界に新たな風を吹き込んでいる。

Wsl、ファミリーフレンドリーへの転換
これまで、プロサーフィンは過酷な移動生活と厳しい競争が求められる世界だった。しかし、近年、WSLは時代に合わせた変化を遂げている。ジョアンヌ・デファイ選手やタチアナ・ウェストン=ウェブ選手らの出産による一時離脱を受け、昨年発表されたマタニティワイルドカード制度は、女性サーファーのキャリアと家庭生活の両立を支援する画期的な取り組みだ。男性サーファー向けの育児休暇制度も導入され、選手のワークライフバランスを重視する姿勢が鮮明になっている。
オーストラリア人サーファーのコナー・オ’レアリー選手は、「まるで夢のようだ。妻や娘と一緒に大会に参加できることは、何物にも代えがたい」と語る。彼は、昨年、娘ロミイ=サクラちゃんが誕生したことで、サーフィンに対するモチベーションがさらに高まったという。ロミイちゃんは、大会会場でケリー・スレーターやステファニー・ギルモアと触れ合い、将来のスターサーファーの卵となる可能性も秘めている。
カリッサ・ムーア選手の復帰は、多くの女性アスリートに勇気を与えた。五度制覇という輝かしい実績を持つムーア選手は、出産後、一時的にツアーを離れたが、マタニティワイルドカードを獲得し、再び砂浜に立つこととなった。「これは、サーフィン界だけでなく、スポーツ界全体にとって大きな一歩だ。アスリートとして、そして一人の女性として、家族を持ちながらも自分の夢を追うことができる、という希望を与えてくれる」と、ムーア選手は語る。
南アフリカのベテラン、ジョーディ・スミス選手も、妻と子供たちを帯同してツアーを回っている。「子供たちが一緒に旅をしてくれることは、最高の喜びだ。彼らが見ているサーフィンを、自分自身も楽しむことができる」と、スミス選手は笑顔を見せる。ただし、将来的に子供たちがプロサーファーになることを期待しているわけではないという。「彼らが自分の人生で何をしたいのかを決めるべきだ。親として、できる限りの機会を与えてあげるのが私の役割だ」と、スミス選手は付け加える。
シエラ・カー選手のように、幼い頃からツアーで育ったサーファーもいる。彼女の父親は元プロサーファーのジョシュ・カーだ。WSLは、次世代のスターを育む温床としても機能し始めている。
オ’レアリー選手は、「ロミイがサーフィンを始める頃には、彼女は最高のサーファーたちと世界中を旅した経験を持っているだろう。それは、彼女にとってかけがえのない財産になるはずだ」と述べている。そして、彼は最後にこう付け加えた。「サーフィンは、人生そのものだ。家族と共にそれを楽しむことができれば、これ以上ない幸せだろう。」