インド、食糧安全保障を強調:ホルムズ海峡の混乱も乗り越える

ニューデリー発 – インド政府は、ホルムズ海峡の緊張による肥料供給への懸念が高まる中、十分な食糧備蓄があることを改めて表明した。小麦と米の在庫量は、国内需要をはるかに上回り、緊急事態にも対応できる体制を整えているという。

食糧備蓄、法定量の3倍超

インドの食糧・公共配給省のC・シカ事務官は、現在、小麦約2220万トン、米約3800万トンを保有していると発表した。これは、公的配給制度(PDS)を維持するだけでなく、いかなる緊急事態にも対応できる十分な量であると強調している。法定の最低備蓄量を3倍以上上回るこの事実は、脆弱な層への食糧アクセスを保証するインド政府の決意を示すものだ。

しかし、インドが直面する課題は食糧だけではない。同国は世界第2位の肥料消費国であり、ホルムズ海峡の封鎖は、特に窒素肥料の主原料である尿素の輸入に深刻な影響を与えている。世界貿易機関のデータによれば、インドへの尿素輸入の40%がホルムズ海峡を経由しており、供給網の脆弱性が露呈している。

政府は、この状況に対処するため、サウジアラビア、ロシア、モロッコといった資源国との間で、計860万トンの肥料輸入に関する国際的な合意を締結した。Indian Potash Ltd.は、すでに250万トンの尿素輸入を目的とした入札を開始しており、供給の安定化を図っている。

ガスの不足も深刻化 — さらに、インドは深刻なガス不足に見舞われており、家庭用燃料として広く利用されているガスの供給が滞り、商店やホテル営業への影響が出ている。長蛇の列ができる光景も珍しくなくなり、国民生活に混乱をもたらしている。

インドは、インドネシア、マレーシア、ロシア、ウクライナ、アルゼンチン、ブラジルといった国々からの食用油の輸入も継続しており、グローバルな不確実性にも動じない体制を維持している。インドの食糧安全保障は、複雑な地政学的リスクと国内のエネルギー危機という二重の試練に直面していると言えるだろう。

今後の課題:供給網の多様化とエネルギー政策

今後の課題:供給網の多様化とエネルギー政策

インドが長期的な食糧安全保障を確保するためには、ホルムズ海峡への依存度を下げる供給網の多様化が不可欠である。同時に、エネルギー危機を克服し、国民生活の安定を取り戻すためには、再生可能エネルギーへの投資や、効率的なエネルギー利用促進といった抜本的なエネルギー政策の見直しが急務となる。インド政府の決断が、同国の未来を左右するだろう。