エチオピア、総選挙へ – 政治的混乱と紛争の影

エチオピアが今月、総選挙を実施する。政権の أبي・アヒメド首相率いる与党「繁栄党」は、勝利を目指すも、ティグライ地方とアムハラ地方における激化する紛争と、首都アディスアベバ周辺での権力闘争が、選挙の行方を左右する緊張感を高めている。

内戦の泥沼、選挙の行方は不透明

ティグライ地方の反政府勢力「ティグライ解放国民戦線」(TPLF)との武力衝突は、2020年から2022年にまで続き、現在も緊張が再燃。アムハラ地方では、政府軍とファノ民兵間の衝突が頻発し、オロモ地方でも治安が悪化している。こうした国内の混乱の中で、選挙は、政治的安定に向けた試みなのか、それとも新たな対立を招くのか、その焦点は尽きない。

選挙管理委員会は、47の政党と約11,000人の候補者を擁し、代表性のある選挙を実施すると表明しているが、野党からは、市民社会への抑圧強化と、公正な競争環境の欠如を訴える声が相次いでいる。 أبي政権は、2018年にアベレマルIAM・デスレゲン首相を解任し、エリトリアとの和平合意を締結したことで国際社会から賞賛され、2019年にはノーベル平和賞を受賞した。しかし、その改革の成果は、急速に覆され、TPLFとの紛争が再燃したことで、希望は打ち砕かれた。

国際社会の懸念と地政学的リスク

国際社会の懸念と地政学的リスク

5月上旬、TPLFのデブレツビオン・ゲブレマイケル党首は、地方自治体の権威を掌握し、アディスアベバから指名されたタデッセ・ウェレデを解任。政府は、和平合意に基づく規則の侵害を非難し、エリトリアがTPLFを支援している疑いも浮上している。しかし、2022年11月の和平合意とティグライ地方の暫定権限委譲後も、緊張は再燃。選挙は、ティグライ地方の排斥と、地域政府への再支配を目指すTPLFの動きを背景に、紛争の再燃を懸念させる。

周辺国の関与と外交的圧力

周辺国の関与と外交的圧力

エチオピアは、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)といった周辺国からの支援を受け、南スーダンやエジプトとの間で、ナイル川の水利権を巡る対立を深めている。また、エチオピア内戦におけるサウジアラビアとUAEの立場は、スーダンにおける軍事政権との関係や、スーダン内戦における軍と民兵組織の対立など、地政学的なリスクを高めている。さらに、近隣諸国であるソマリアとの関係悪化も深刻で、2024年、ソマリアのセーデルランド地域で、エチオピアとエリトリア、ソマリアの代表者による会談が開催され、緊張が高まっている。国際機関は、エチオピア政府に対し、報道機関への抑圧的な措置の停止を強く訴えている

選挙結果と今後の展望

選挙は、45の選挙区で実施を見送る決定が下され、代表性への疑問が生じている。選挙結果は、政府の正当性回復に繋がるか、それとも新たな政治的対立を招くのか。エチオピアの未来は、今月の総選挙の結果にかかっていると言えるだろう。