ピカソ「ゲルニカ」の移動案、政権内部で激震
スペインの国民党(PP)が、パブロ・ピカソの傑作「ゲルニカ」をマドリードからバスク地方へ一時的に移設する計画に強く反対した。専門家も「移動すべきではない」と一斉に警告しているにも関わらず、政権内で対立が表面化している。

バスク自治政府の提案、なぜ反発を呼んだのか
バスク自治政府は、2026年10月1日から2027年6月30日までの間、「ゲルニカ」をビルバオのグッゲンハイム美術館に移設することを文化省に提案した。これは、初代バスク政府の成立90周年と、ゲルニカ爆撃80周年を記念するための企画だ。しかし、マドリードのソフィア王妃芸術センターが作成した報告書は、この移設を「断固として推奨しない」と結論付けている。作品の保存状態を最優先に考慮した結果だ。
国民党のフアン・ブラボー経済副書記長は、マドリードのヘネラリシアから記者会見を開き、「政治家は良いことを推進すべきだが、常に専門家の意見を尊重しなければならない。専門家が移動すべきではないと一目で断言しているのだから、政治家が意見を述べる余地はない」と述べ、自治政府の提案を強く牽制した。イザベル・ディアス・アユソ・マドリード州首相が「的外れな要求」と批判し、「不満を煽るためのナンセンスな論争」だと非難した発言も、党内をさらに揺さぶっている。
専門家の意見は一様:ソフィア王妃芸術センターは、作品の輸送に伴うリスク、気候条件の変化、展示環境の調整などが「ゲルニカ」の保存に悪影響を及ぼす可能性があると指摘している。美術史家や保存専門家からも、作品の安定性を最優先に考えるべきだという声が上がっている。
今回の騒動は、スペイン国内の文化政策における政治的思惑との対立を浮き彫りにしている。今後は、この問題が文化省、自治政府、そして国民党の間のさらなる協議を引き起こす可能性が高い。芸術作品の保護と地域主義のバランスを取ることは、容易な課題ではないだろう。
