ブラジルの鉱山事故、旧ヴァーレ幹部の刑事責任追及再開
サンパウロ発 – ブラジル最高司法裁判所(STJ)は今月7日、2019年1月25日に発生したブラジナイオ鉱山事故で、旧ヴァーレ(Vale)のファビオ・シュヴァルツマン前社長に対する刑事訴訟手続きを再開しました。この事故では270名もの尊い命が失われ、ブラジル社会に深い傷跡を残しました。

法廷、再審の決定に至った経緯
STJの第6パネルは、検察側の控訴を3対2の多数派で認め、シュヴァルツマン氏に対する訴追を復活させる決定を下しました。シュヴァルツマン氏は、ブラジナイオ鉱山複合施設内の貯水ダム崩壊をめぐり、殺人罪および環境犯罪で告発されています。裁判は昨年9月に開始され、審判官のセバスティャオ・レイイス氏の意見表明から始まりましたが、他の判事たちの申し立てにより中断されていました。
この決定は、下級裁判所がシュヴァルツマン氏に対し、訴追を継続するための「最小限の立証」が不足しているとして与えた保釈状を覆したものです。 しかし、被害者家族は一貫して、シュヴァルツマン氏が鉱山複合施設の安全上の危険を認識していながら、何らかの措置を講じなかったと主張しています。市民団体が収集した文書などからも、その事実が裏付けられているとされています。
事故当時、高さ86メートルの貯水ダムが崩壊し、1200万立方メートルの鉱滓が周辺26の自治体に流れ込み、深刻な環境汚染を引き起こしました。この規模の被害は、ブラジル史上最悪の社会環境災害の一つとして記録されています。犠牲者数は公式には270名とされていますが、2人の妊婦の胎児を含めると、実際には2名以上の命が奪われた可能性も指摘されています。
今回のSTJの判断は、単なる刑事訴訟の再開に留まらず、大企業による安全管理の不備がもたらす悲劇に対する、社会の強い要求に応えるものと言えるでしょう。ヴァーレは世界有数の鉄鉱石生産・輸出企業であり、今回の事故は、資源開発における環境保護と人命尊重の重要性を改めて浮き彫りにしました。
