北アンティオキア:激化する武力対立、麻薬と鉱山の闇
北アンティオキアの田舎道に、再び血の匂いが漂っている。2026年に入ってから、爆弾の発見と解除が相次ぎ、住民の不安は募るばかりだ。かつて和平合意で希望を見たこの地域は、今や再び武装勢力の縄張り争いに巻き込まれつつある。
治安悪化の背後にある複雑な力関係
陸軍第4旅団長のカルロス・エドゥアルド・カセド・ボカネグラ氏は、現地の治安状況の悪化を警鐘している。今年に入ってからの殺人事件は70件に達し、昨年同時期比で大幅に増加している。この背景には、領土支配を巡る違法武装組織同士の激しい対立がある。特に、ゴルド・クラン(エル・ゴルド)、FARCからの離反勢力(戦線18、戦線36)、そしてELNのヘロエス・デ・タラサ戦線が、イトゥアンゴ、トレド、サン・アンドレス・デ・クエルキア、ブリセニョ、ヤルマルといった自治体を舞台に、激しい攻防を繰り広げている。
わずか11日間で8個もの爆弾が発見されたことは、住民だけでなく、政府軍にとっても深刻な脅威となっている。しかし、この紛争を支えるのは、麻薬取引だけではない。近年、違法鉱業が組織の主要な資金源として台頭しており、その規模は麻薬取引を上回っているのだ。
ゴルド・クランは、違法鉱山から生産額の10%から20%を徴収し、その支配を強固にしている。ブリセニョやイトゥアンゴといった地域では、複数の武装組織が鉱山を巡って争っており、状況は一触即発の状態だ。

「平和への道」は岐路に?
アンディエス・フリアン・レンドン知事は、この状況の責任を、政府の「平和への道」政策にあると指摘する。彼の主張は、この政策が武装組織の勢力拡大を容易にしたというものだ。特に、FARCからの離反勢力が、イバン・モルディスコ率いる中央指揮部(Estado Mayor Central)に合流したことは、地域の勢力図を大きく塗り替えた。
この動きは、昨年からの戦闘員転属という動きと相まって、イトゥアンゴやパラーミロ結節点といった地域で、離反勢力の拠点を強化する意図を示唆している。カウカ、ナリニョ、グアビアールといった地域から少なくとも70人の戦闘員が転属したと報じられており、その規模の大きさが懸念される。
戦線18の再編は、戦線36からの圧力に起因するものと見られている。戦線36は、鉱業や麻薬取引で重要な拠点であるブリセニョやタラサといった地域で攻撃を仕掛けており、組織内の混乱と離反を引き起こしている。さらに、カブヨスの農民ゲリラ(Guerrillas Campesinas de los Cabuyos)といった新たな武装勢力の出現も、紛争の複雑化を招いている。

都市部への侵食と新たな脅威
ブリセニョでは、都市部で武装パトロールや住民統制活動を行う農民ゲリラが活動しており、紛争の様相は一変している。勢力図の再編と新たな同盟の結成は、より不安定な紛争モデルを生み出している。その結果、4月3日には、ブリセニョの警察署前に爆弾を積んだバイクが爆発し、警官が負傷、施設が被害を受けた。この事件は、武装組織が都市部にも侵入し、住民に恐怖を与えていることを明確に示した。
政府はテロ攻撃を非難し、これらの組織に対抗するための措置を強化すると表明したが、北アンティオキアの状況は依然として深刻だ。複数の違法組織、領土争い、そして紛争を支える違法経済の存在。この悪循環から抜け出すためには、断固たる対策と地域住民の積極的な協力が不可欠となるだろう。