アヘントス経済改革、混乱と希望の狭間:政権内部対立も露呈
ハビエル・ミレイ政権が、インフレとの闘いを最優先課題として、大胆な経済改革を断行から2年。スペイン紙「エル・デバテ」のインタビューで、政権の現状と課題、そして政権内部の暗闘が赤裸々に語られた。しかし、その真価はまだ問われぬまま、激動の時代が続く。
「崩壊寸前」からの脱却:ミレイ政権の苦闘
ミレイ大統領は、キルチェニスチ政権から引き継いだ経済状況を「崩壊寸前」と断言。月間54%という驚異的なインフレ率、中央銀行に残されたのは4つの基軸通貨、そして5万億ドル近い輸入業者への債務。国際準備高はマイナスを記録し、債務返済能力も危うかったというのだ。彼が掲げる解決策は、前例のない規模の財政支出削減だった。
「人類史上最大の財政赤字削減」と自負するミレイ大統領は、6ヶ月でGDPの15ポイントという財政赤字削減を達成。公共支出を30%削減、9万億ドルを国民に還元したと主張する。しかし、その道は決して平坦ではなかった。

理論と現実の乖離:経済指標の裏側
理論上、これほどの財政引き締めは深刻な景気後退を引き起こすはずだった。しかし、ミレイ政権下では、GDPは予想に反して成長。統計的に3.5ポイントの落ち込みが見込まれていたものが、1.8ポイントに留まり、実際にはプラス成長を記録したという。卸売価格のインフレ率は1%以下にまで低下し、年率13%、12%へと落ち着きを取り戻しつつある。
しかし、消費者のインフレ率は依然として高止まり。公共料金の調整や、原油価格の上昇が影響しているという。ミレイ大統領は、「価格調整、原材料価格、そして原油価格の高騰が、インフレの抑制を困難にしている」と吐露する。

政権内部の亀裂:ビクトリア・ビジャルール問題
経済改革の推進を阻むのは、外部要因だけではない。ミレイ大統領は、上院議長であるビクトリア・ビジャルール氏を名指しし、政権の改革を妨害していると非難。「ビジャルール氏の行動を見て、驚きはしない。彼女が私を妨害し、裏切ろうと画策していることは目に見えていた」と語った。2021年からビジャルール氏が改革の妨害を企てていたという証言も飛び出した。
大統領は、ビジャルール氏の行動を「健康上の問題」を理由に上院での重要な法案の審議を遅らせたことや、イザベル・ペロン氏への追悼など、政権への忠誠心を疑わせる行動として批判した。これらの動きは、経済改革の遅延と政権内の不安定化を招いているという。
新たな盟友と世界の潮流:トランプ、ネタニヤフとの絆
ミレイ大統領は、ドナルド・トランプ氏やベンジャミン・ネタニヤフ氏との親交も強調。トランプ氏の業績を称賛し、「彼はアメリカ史上最高の大統領だ。彼ほど多くの紛争を解決し、人命を救い、世界の福祉に貢献した人物はいない」と賞賛した。また、ネタニヤフ氏を「私が知る最も知的な人物の一人」と評し、自由主義の擁護という共通の理念に基づいた友好関係を築いていることを明らかにした。
ミレイ大統領は、アダム・スミスの思想を引用し、「財産の権利を守れば、自由を守り、人生を守り、進歩することができる」と力説。財政規律と私有財産権の尊重こそが、真の安定への道だと主張した。 彼自身の言葉を借りれば、「国家を縮小し、その力を私生活へと返還することこそが、我々が成し遂げたことだ。」
この改革が成功するかどうかは、今後の政権運営と、政権内部の対立を乗り越えることができるかにかかっている。しかし、ミレイ政権の試みは、新たな経済モデルの可能性を示唆しており、世界が注目する事態となりつつある。