マンデルソン氏任命巡る疑惑、政府の透明性欠如が露呈

ロンドン発 – ピーター・マンデルソン氏の米国大使任命を巡る議会調査が、政府高官からの7万7千語を超える証言を記録したにも関わらず、核心に迫る疑問が依然として残存している。外国委員会は今週、今後の対応を協議するが、政府が議会動議に定められた「関連書類の全て」の開示義務を遵守していない疑いが浮上し、事態は混迷を深めている。

スターマー首相のリーダーシップへの影

この疑惑は、キアー・スターマー首相のリーダーシップに暗い影を落としている。2024年12月のマンデルソン氏任命決定は、繰り返し辞任を求める声に繋がっており、政局は不安定さを増している。スターマー氏の潜在的な後継者の一人であるウェス・ストリート氏も、マンデルソン氏との関係性から厳しい視線に晒されている。ストリート氏は以前、マンデルソン氏とは親しい友人ではないと主張しているが、疑惑は消えない。

委員会がこの段階で結論を出すことは時期尚早との懸念も根強い。マンデルソン氏関連の書類の次の公開は、6月まで見込まれていない。特に、元外交官官僚のオリ・ロビンズ氏の証言に関連する未解決の疑問が山積している。ロビンズ氏は、マンデルソン氏にクリアランスを与え、後にスターマー氏によって解任された人物だ。

クリアランス判断の裏側:口頭ブリーフィングへの依存

クリアランス判断の裏側:口頭ブリーフィングへの依存

委員会は、ロビンズ氏が数時間で下した決定に焦点を当てている。スターマー氏がマンデルソン氏を大使候補に指名してから数週間後、ロビンズ氏と他の関係者らは、国務省からの圧力により、マンデルソン氏を速やかにワシントンに派遣する必要があったと証言している。マンデルソン氏のセキュリティ審査は形式的な手続きであると想定されていた。

通常、外交官、さらにはジュニア官僚ですら「高度な審査」を必要とするマンデルソン氏のクリアランス。リスク評価は内閣府のUK Security Vetting (UKSV) が行ったが、最終決定権は外交省に委ねられていた。UKSVはマンデルソン氏を2回面談し、背景を精査した結果、1月28日に評価結果をまとめた文書を「セキュアポータル」を通じて外交省に送信した。その結果、UKSVはマンデルソン氏を「高い懸念」と評価し、クリアランスを拒否するよう勧告した。

しかし、わずか数時間後、外交省はUKSVの勧告に反し、リスク軽減策を講じることでクリアランスを許可するという決定を下した。

委員会の一関係者は、マンデルソン氏の審査における透明性の欠如が、ロビンズ氏の判断の妥当性を検証することを困難にしていると指摘する。委員会は、UKSVがマンデルソン氏を国家安全保障上のリスクとみなした理由や、どのようなリスク軽減策が講じられたのかを知らされていない。

ロビンズ氏は証言の中で、クリアランスを許可するにあたり、UKSVの評価結果をまとめた文書を読んでいないと認めた。代わりに、キャリア外交官であるイアン・コラード氏からの口頭ブリーフィングに頼ったという。コラード氏は証言台に呼ばれなかったが、外交省からの書簡で、自身もUKSVの要約文書を読んでいないことを明らかにした。さらに、外交省の当時の最高執行責任者、コリン・ロバートソン氏も関与していたことが判明。コラード氏はロバートソン氏とUKSVの調査結果について協議し、リスクは軽減可能であるとし、ロビンズ氏に最終決定を委ねたという。

ロバートソン氏は8月に日本大使に就任予定であり、委員会は彼を証人として喚問することを検討している。

「機密」文書へのアクセス制限と矛盾

「機密」文書へのアクセス制限と矛盾

ロビンズ氏は、なぜUKSVの要約文書を閲覧しなかったのかと問われた際、「機密」と分類された文書は、例外的な状況下でのみ閲覧可能であると主張した。しかし、内閣府の常務官僚キャット・リトル氏は、セキュリティチェーンに関わる誰もが、必要であればそのような情報にアクセスできると証言している。この矛盾は、さらなる混乱を招いている。

さらに、ロビンズ氏は、UKSVがマンデルソン氏の件を「境界線上」のケースと評価したと述べたが、この主張を裏付ける文書は公開されていない。他の証人も、この言葉を使った者はいなかった。

マンデルソン氏がワシントン大使から解任された後、ロビンズ氏は7か月後にUKSVの文書を閲覧したと主張しているが、その理由も不明瞭である。この一連の出来事は、委員会が解決すべき重要な謎の一つとなっている。

外交省は、コラード氏が2025年9月にUKSVの文書を再確認した際、「高い懸念」と「クリアランス拒否」のチェックボックスに加えて、「UKSVは全体として、これは非常に境界線上にあるケースである」という文言を記録したと発表した。委員会は、この文言が何を意味するのか、誰がコラード氏に「境界線上」という言葉を伝えたのかを明らかにしようとしている。

この疑惑は、スターマー首相の政権に対する深刻な脅威であり、今後の展開が注目される。

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