イギリス、賠償要求国へのビザ発給停止を検討:歴史と正義の葛藤

Reform UK(再建イギリス党)が、かつて奴隷貿易に関与した国々からの賠償要求を出す国に対し、ビザの発給を停止するという衝撃的な提案を行った。国際社会で修復的正義を求める動きが加速する中、この声明は波紋を広げている。

「銀行は閉鎖だ」:reform ukの強硬姿勢

Reform UKのZia Yusuf(ジア・ユスフ)内務担当広報は、「イギリスが世界の舞台で嘲笑されている」と主張し、歴史を「武器」として国庫を「底なし沼にしようとする者」に対しては「銀行は閉鎖だ」と強硬な姿勢を示した。しかし、カリブ海諸国連合(CARICOM)は、この見解は誤りだと反論。修復的正義を求める国々は、相互に有益なパートナーシップを求めていると強調している。

先月、ガーナが主導した国連総会決議は、奴隷貿易を「人類に対する最も重大な犯罪」と定義し、賠償を「歴史的な不正を是正するための具体的な一歩」と位置づけた。123カ国が賛成したが、アメリカは反対、イギリスは棄権という結果に終わった。この背景には、植民地支配と奴隷貿易がもたらした深刻な遺産が深く根付いている。

奴隷貿易と植民地支配:現代社会への影響

奴隷貿易と植民地支配:現代社会への影響

15世紀から始まったヨーロッパ諸国の植民地化は、1920年代には世界の約4分の1をイギリスが支配するほど拡大した。奴隷貿易は、ヨーロッパの植民地支配を支える中核であり、数百万のアフリカ人がアメリカ大陸に連行され、過酷な労働、拷問、性的虐待、そして基本的人権の否定に直面させられた。植民地化は、アフリカ、アジア、カリブ海、オセアニアの国々に、虐殺、先祖代々の土地の喪失、文化破壊、人口の貧困化と追放といった深刻な被害をもたらし、現在も続く人種、経済、生態系の不均衡を生み出している。

修復的正義とは?:具体的な要求とcaricomの提案

修復的正義とは?:具体的な要求とcaricomの提案

修復的正義とは、負傷の認識と修復へのコミットメントである。国際法の犯罪被害者には、謝罪、再発防止の保証、補償、リハビリテーション、事実の完全な開示、そして回復といった修復を受ける権利がある。CARICOMはアフリカ連合と協力し、イギリスに対し、単なる巨額の賠償金ではなく、相互に有益な修復的正義プログラムの実現を求めている。CARICOMの10項目計画には、正式な謝罪、先住民開発プログラム、希望する人々のためのアフリカへの帰還、文化遺産の保護と返還、公衆衛生危機への対処、教育プログラム、歴史と文化の知識交換、世代間のトラウマへの心理的リハビリテーション、技術移転、債務免除などが含まれている。

今月のアントイグア・バーブーダで開催される英連邦首脳会議では、チャールズ国王に対し、謝罪を求める声が強まる見込みだ。一方、ジャマイカやイギリスの弁護士は、法的手段を通じて是正を目指している。

過去の賠償事例:フランスとハイチの複雑な歴史

過去の賠償事例:フランスとハイチの複雑な歴史

奴隷制度廃止後、イギリスは奴隷所有者に対して、現在の価値で170億ポンドに相当する賠償金を支払ったが、奴隷とその子孫には補償が支払われなかった。19世紀初頭、ハイチ革命でフランスの植民地支配を終わらせた後、フランスは1億5000万フランの賠償金を要求し、支払いが1947年まで続いたという歴史的経緯がある。

世論の動向:謝罪には一定の支持、賠償には反対

2024年の世論調査では、6割の人がカリブ海諸国や奴隷の子孫が正式な謝罪を受けるべきだと考えている。しかし、YouGovの3月の調査では、全体の60%が賠償に反対しており、黒人成人の71%が賛成という結果も示されている。

企業の取り組み:guardian, church of england, lloyd's of london

GuardianのオーナーであるScott Trustは、2023年にジャマイカとアメリカにおける奴隷制度との関わりに対して、修復的正義プログラムへのコミットメントを発表した。また、Church of Englandは1億ポンドのプロジェクトを開始し、Lloyd's of Londonは5200万ポンドのプログラムに資金を提供している。グラスゴー大学とケンブリッジ大学も、奴隷制度から利益を得たという調査結果を受け、それぞれ2000万ポンドと150万ポンドの基金を設立している。

イギリス政府の立場:賠償は否定

イギリス政府は、奴隷や植民地支配に対する正式な謝罪をしておらず、賠償金は支払わないという立場を維持している。国連決議後も、奴隷が「計り知れない苦痛と悲しみをもたらし、深い傷跡を残した」ものの、「その当時、違法ではなかったため、賠償義務はない」と主張している。

専門家は、イギリスが修復の動きに抵抗できないと指摘している。グリーン党は、「イギリスや他のヨーロッパ諸国が依然として恩恵を受けている犯罪に対して償うまで、真の平和と正義は実現しない」と訴えている。修復的正義の実現は、歴史の清算と、より公正な未来を築くための重要な一歩となるだろう。

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