リチウム争奪戦、poscoがアルゼンチン hombre muerto norte鉱山を射止める
南米アルゼンチン、サルタ県とカタマルカ県にまたがる Hombre Muerto Salar(サルタ・デ・オンブレ・ムエルト塩湖)で、韓国のPosco(ポスコ)が重要なリチウム鉱山プロジェクト、 Hombre Muerto Norte(HMN)の買収を完了しました。これは、世界的なバッテリー需要の高まりを背景とした、リチウム資源獲得競争の激化を象徴する出来事と言えるでしょう。
政府高官も買収を歓迎、投資誘致に期待
経済相のルイス・カプー托氏も、この買収を歓迎。X(旧Twitter)を通じて「Poscoとの会談、大規模投資促進制度(RIGI)の承認が間近に迫っている。我が国の北部への更なる投資を期待する」と表明しました。RIGIは、大規模投資プロジェクトに対する税制上の優遇措置を提供する制度であり、Poscoの投資がこの制度を通じて加速することが予想されます。
Hombre Muerto Salarは、世界有数の高濃度リチウム埋蔵量を誇る地域であり、今回のPoscoの買収は、同社がリチウム資源の安定供給を確保するための重要な一歩となります。アルゼンチンは現在、世界第5位のリチウム生産国であり、リチウム三角地帯の一部として、オーストラリア、チリ、中国、ジンバブエに次ぐ規模でリチウムを生産しています。特に、資源量と保有量において、ボリビアと並ぶリーダーシップを確立しています。

15.6万トン規模の生産能力、既存プロジェクトとの連携
今回の買収により、PoscoはカナダのLithium South傘下のNRG Metals Argentina S.A.の100%の株式を取得しました。HMNプロジェクトは、現在探査段階にあり、年間15.6万トンのリチウム炭酸塩当量(LCE)を生産する潜在力を秘めています。この地域では、Rio Tinto傘下のFénixプロジェクトや、Galan LithiumのHombre Muerto Oesteプロジェクトも稼働しており、Poscoは既存のプロジェクトとの連携を通じて、更なる生産拡大を目指すでしょう。
Poscoは既に2018年にこの塩湖で鉱業権を取得しており、今回の買収は、そのプレゼンスを強化するものです。同社は、鋼鉄事業に加え、エネルギー材料事業を成長戦略の柱と位置付けており、今回のリチウム鉱山の買収は、その戦略を具現化する重要な取り組みと言えます。同社のChang In-hwa社長は、「エネルギー材料事業を鋼鉄事業と並ぶ成長エンジンと位置付け、長期的な競争力向上のために、安定的な原材料供給を確保することにコミットしている」と述べています。
アルゼンチンは、世界有数のリチウム資源国として、今後もリチウム需要の拡大に貢献することが期待されます。2025年の鉱業輸出額は60億3700万米ドルと過去最高を記録し、BBVA Researchの予測では、2033年には250億米ドルに達する可能性があります。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、マクロ経済の安定と、投資家にとって魅力的な規制環境の整備が不可欠です。鉱業はアルゼンチンGDPの1%未満、輸出の6%未満に過ぎませんが、次期10年間は構造的な変化をもたらす可能性を秘めています。
